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【第4回海外進出コミュニティイベントレポート】Omise創業者ドニー氏 - 「東南アジアからユニコーンを作る方法」 タイ発Fintechスタートアップの挑戦と教訓

  • 執筆者の写真: Takayuki Nakajima
    Takayuki Nakajima
  • 7月1日
  • 読了時間: 3分

2025年6月26日、海外進出コミュニティの第4回イベントが開催され、東南アジア発のFintechスタートアップとして急成長を遂げたOmise(旧Opn)の共同創業者ドニー氏をゲストに迎え、当社岡野がモデレータとなり、グローバル展開のリアルを深く掘り下げる貴重なセッションが行われました。



🚀 創業ストーリー:Instagram×ECから決済特化へ

ドニー氏は、タイ・バンコクで起業家としての第一歩を踏み出しました。当初は「Instagramにカート機能を付けたようなECプラットフォーム」の構築を目指していましたが、現地の決済手段の乏しさが一番の課題であることに気がつき、決済ソリューションに軸足を移す大胆なピボットを決断します。

初期段階の構想は、East Venturesからの出資を経て本格的なプロダクト開発へと舵を切りました。



🏦 金融規制との戦いと、初のクラウド型ライセンス取得

決済業界は高度に規制された領域。Omiseは、クラウドベースの決済インフラを構築するにあたり、タイ中央銀行との粘り強い交渉を展開しました。AWSシアトルの法務チームまで巻き込み、セキュリティ・ガバナンスを説得した結果、タイで初のクラウド基盤による決済事業ライセンスを取得。この成功が大きな転機となります。



📈 成長と資金調達、そしてグローバル展開へ

2015年の正式ローンチ後、最初はSMBを中心に拡大し、やがてタイ大手ピザチェーンなどエンタープライズ顧客へと拡大。True Moneyや金融機関からの出資も受け、シリーズAを完了。

その後の成長戦略として、法人登記をタイからシンガポールへとインバージョン(登記地の変更)し、2016年にシリーズB、2017年には日本進出、2020年には8000万ドルのシリーズC、2021年にはマレーシア展開を実現。2022年までの累計資金調達額は1億2,000万ドル超に達しました。


🇺🇸 米国企業の買収とIPOを見据えた体制構築

2022年末には、米アトランタの決済企業を買収。日本の複数ファンドがこの大型買収を支援しました。IPOも視野に入れ、企業構造を再び日本法人を持つホールディングス体制へ変更。

ただし、PMI(Post Merger Integration)には大きな困難が待っていました。米国側の経営陣とカルチャーギャップが埋まらずメンバーを刷新。大手決済会社運営の経験を持つ経営者の招聘により、再び成長軌道に乗せました。



📝 日本スタートアップへの示唆:鍵は「現地理解と信頼関係」

多くの日本スタートアップが東南アジア進出に高い関心を持つ中で、東南アジア進出の成功の鍵は、「現地の規制・文化への深い理解」と「信頼できるローカルパートナーの存在」にあると強調。単なる現地法人設立や販路確保ではなく、“現地に根ざした戦略”こそが成否を分けると語りました。



🔚 おわりに

本セッションは、単なる成功談ではなく、現地規制・文化・PMI・投資家対応といった“リアルな苦労”を共有いただいた貴重な機会となりました。英語セッションではありましたが、活発な質疑応答と、その後のネットワーキングも最後まで全員が残られ、今後の海外展開を志す日本企業にとって、大きな学びと刺激を与える内容でした。



海外進出コミュニティは、海外進出や海外での事業成功を目指すスタートアップや大企業の新規事業開発の経営層やVCのためのコミュニティで、約60社に参加いただいております。 海外展開における共通の課題や悩み、成功体験を横共有しあい、成功への勝ち取りましょう。  まだまだ参加企業募集中です。ご希望やご相談がありましたら info@puzzle-ring-factory.com までお寄せください!



次回は、10月頃を予定しています。楽しみな企画を考えており、詳細が決まりましたら、皆様にお伝えします。お楽しみに!!

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