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人を雇うか、AIを雇うか──社長自ら試した営業DXの最前線

  • 執筆者の写真: Takayuki Nakajima
    Takayuki Nakajima
  • 5月9日
  • 読了時間: 8分




AiSDRを活用した直近1ヶ月の成果


この1ヶ月、私自身がAiSDRを使って完全な新規顧客開拓(コールドアウトリーチ)を実施しました。こちらはリアルな数字です。3つのキャンペーンが混ざっていますが、基本的に2回のシーケンスを回し最終的に6件の商談をBookすることができました。


直近1ヶ月のアウトバウンドの成果
直近1ヶ月のアウトバウンドの成果

ちなみに、この結果を見て、私の方がもっとパフォーマンスが高いといって流す人もいるかもしれませんが、人と比べても余り意味がありません。自動化されたAIが行なった成果だと理解してください。 


また昨年12月〜今年1月の結果は以下の通りで、結果の比較をその後にまとめてあります。

昨年12月ー今年1月の結果
昨年12月ー今年1月の結果
コールドアウトリーチ活動の結果比較
コールドアウトリーチ活動の結果比較

結果の差は一目瞭然で、今では今後の再現性も含めて確かな手応えを得ることができたのですが、当時を思い出しながら、なぜここまでの改善に結びついたのか、この後の章でお伝えします。



なぜここまで成果を出すことができたか


成果には理由があります。今回は、特に大きな要因と感じている3点を挙げます。



① AIそのものが進化し“信頼できる相棒”になったこと


この半年ほどで、AIの精度と能力は劇的に向上しました。具体的には、ハルシネーションの抑制・読み取り精度・ライティングの説得力・文脈の理解力・処理トークン量・そして推論能力などです。勿論これらすべての要素が大事ですが、特筆するべきは2点。


  1. 推論力の向上:以前は「人間がやるべき領域」と思われていた“相手の情報を読み取り、課題を仮定し、適切な提案を構成する”という部分を、今やAIがある程度担えるようになったことです。


  2. 正確性の向上:皆さんも経験があるように、これまではAIが何を書き出すか分からない不安がありました。 しかし ChatGPT 4.1以降は、フレームワークと正確な情報があれば正しく理解し、目的に沿って文章を生成する能力は、すでに平均的な人間を上回っていると感じます。この精度とスピード、そしてタイムパフォーマンスを考えると、今はまさに“AIを活用すべき時期”に突入したと断言できます。



② 「数を打つ営業」から、「狙って刺す営業」への切り替え


かつては「数を打てば当たる」が暗黙の営業セオリーだったと思います。(これは私だけ?笑)BDR/SDRのKPIには通数や架電数がベースにあり、営業代行の評価基準においても「リストの保有数」が重視されることが多かった。


しかしAiSDRを使い始めてから、営業活動の本質が、「手数」や「根性」ではなく、「設計」と「再現性」で勝負し、質の高いリードを効果的に獲得する世界に変わったと感じます。営業チームは、体力勝負のプレイヤー集団ではなく、戦略的に勝ち筋を描く“ヘッドコーチ”として、全体を分析し、改善ポイントを考え修正していくことで再現性を高め、拡張性を高めることが求められるようになりました。


またリードの質を高めるためには、「情報」と「インテント」の有無がとても重要なポイントになってきました。  そのため、私自身は、LinkedInで通常のフィルターに加えて特にアクティブに発信している方をターゲットにリストを設計するようにしています。またSales Retrieverなどの企業情報データベースと連携したり、ソーシャルシグナル(特定の投稿に関する関心)をトリガーに、インテントベースのアウトリーチをかけることもできます。こうした相手の絞り込みは、アプローチする数は減りますが、相手が何に関心を持っているかの情報を得ることができ、相手を知った上でより深い示唆と具体性をもった提案文を構成することが可能になります。


その結果、相手にとっても「これは今、必要だった」「自分のために書かれている」と感じてもらえる、相思相愛のアウトリーチが実現できます。


現に私への返信メールの内容はどれも有効的であり、今すぐ案件に繋がらない場合でも、次に繋げられるポジティブな印象を与えられ、大げさでなく感謝のお返事をいただくこともあります。また、LinkedInユーザーには大企業の部長職以上の方が多いため、自然と意思決定者に近い層へリーチできるという利点もあります。



③ ペルソナを徹底的に作り込んだこと


そして3つ目の成果要因は、ペルソナ設計を丁寧に行ったことです。従来、AIによる文章はどこか違和感がありました。目的や論理構成が不明瞭だったり、もしくは文章のトーンや言葉の選択が不自然だと、「これAIだな」とすぐ見抜かれることも少なくありませんでした。


しかし、事前にターゲットごとのペルソナを構築し、それに基づいた情報収集・仮説構築・課題設定・提案構成のフローを定義しておくことで、AiSDRは単なる文章生成ツールから、“意図ある推論モデル”でメッセージを作成するスーパー営業パートナーへ変貌します。


特に、AiSDRでは最新のChatGPT4.1も使えるのが魅力です。 4.1はいわゆる推論モデルではありませんが、メールを書くレベルの推論ロジックは十分に対応可能なので、このスピード感でそういう仮説/提案するのね、と毎回驚かされています。


つまり、メールを送る前の課題の整理の方法までAIに教えておけば、それをもとにAIが一貫したストーリー性と説得力のあるアウトリーチ文を構築してくれる。ここが、単なるテンプレ営業との差分であり、特にアウトバウンドリーチにおける成果の源泉だと考えます。



RoI(金額と時間)で従来と比較


ROIについても簡単にまとめておきます。 アウトリーチ作業に限ってAIと従来の人による比較をした場合、コストと時間の部分で比較すると圧倒的な差分があると言えます。


アウトリーチのROI比較
アウトリーチのROI比較

AISDRを活用すれば、月8.5万円〜で“辞めない・疲れない・スケールできる営業リソース”を持てるという構図が見えてきます。


またこれを組織レベルで考えてみることも大事だと思います。従来のインサイドセールスは、やはりノウハウの部分など個人プレー(個々の秘伝のタレ的)な要素があったと思います。


しかし、営業組織においては属人的部分によりパフォーマンスの差を生み出してきたことも事実です。 AiSDRを活用することでノウハウを共有できますので会社全体の営業パフォーマンスとROIを向上させることができる点が営業マネージメントにおいて大変大きな要素であり、変革となるのではないでしょうか?



人はアウトリーチ活動において不要になるのか?


結論から言えば、AIが進化しても「人はいらない」にはなりません。 ただ“人の仕事が変わる”必要があると思います


AiSDRが得意なのは、情報のインプットから仮説をベースにした課題設定や、それを元にした提案文章の作成、または返信といったところです。勿論、メールだけでなく、SNS、フォーム、手紙やコールスクリプト、あらゆるチャネルをカバーしAISDRは今後も進化していくでしょう。 しかし、以下のような領域は、いまだ人にしかできません:


  • 営業戦略や体制作り、正しいデータとの接続、

  • ターゲット顧客の設定、ペルソナの作成

  • PDCAを回し改善する思考と習慣

  • 商談設定後のクロージングや人間らしい判断

  • 顧客との微細なニュアンスのやりとり

  • 長期的な関係構築と信頼の蓄積

  • 突発的な対応や例外処理


また、AIに正しい指示を出すためにも、人は全体を理解している必要があります。理想と現状のギャップを把握し、それを改善するフレームを構築できるのは、やはり人の役割です。

営業現場で言えば、「一斉射撃の命中精度をAIが上げてくれるが、どこを撃つか、戦場全体を見渡すのは人間」——そんなイメージが近いでしょう。


そして営業チームがこれから担うべきは、“任せるところ”と“人がやるべきところ”を見極める力を持つことです。それこそが、今後の営業組織の価値を決定づけると言っても過言ではないでしょう。



人とAIが融合し営業組織がさらに進化するには?


営業組織がAIを味方につけて“進化”するには、次の3つの視点が不可欠です。


1. 役割やKPIを再定義する

営業パーソンは「メールを書く人」から、「設計し、意味づけし、再現性を高めるプロデューサー」へと進化すべきです。


2. ナレッジを構造化して渡す

AiSDRは、入力されたペルソナや目的に忠実です。人がノウハウを言語化し、体系化してAIに引き継ぐことで、属人的な営業技術を再現性を高めるための“営業資産”に変えることができます。


3. 組織全体で“観察と改善”を回す

AIの成果を最大化するには、実行結果を人が観察し、仮説・検証・改善のループを人が支えることが必要です。このフィードバックループがあることで、AIと人は“共進化”していきます。



さらに今後、営業活動における“融合の高度化”が求められます。たとえば:


  • 人によるコールドコールを混ぜる:AIによるアウトバウンドに反応がなかった相手に、人がフォローアップコールを入れる


  • 手紙の生成・郵送:AiSDRに手紙文面を生成させ、郵送と組み合わせて接点をつくる


  • ナーチャリング設計と自動化:初回アウトリーチの後、適切なタイミング・コンテンツで自動フォローアップするシナリオを人が設計し、AiSDRが実行する


  • SNS広告・発信との連携設計: 例えば以下のような商談への導線を作ることができます。

    • 1. ターゲットへアウトリーチメール

    • 2. 受信者はLinkedInで送信者その人の投稿内容を確認し関心を高める

    • 3. 更にメール開封やWebのクリックなどのトリガーでSNS広告に誘導

    • 4. インテントを検知したタイミングで再度AiSDRがフォロー

    • 5. 商談化へ


このように、インサイドセールスとマーケティングオートメーションの垣根はますます曖昧になり、 営業は“自動化+設計力”が求められるマーケティングに近い職種へと進化していくと考えています。


営業/インサイドセールスの未来は、AIが人を代替するのではなく、 「人とAIが別々の強みを発揮し、チームとして補完し合う世界」に向かっていると確信しています。

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